最高値を更新！米中関税戦争が金価格を押し上げ

• 金相場は、トランプ関税に対する懸念から6日連続で買いが集まった
• FRBの利下げ観測とインフレ懸念がXAU/USDルをさらに押し上げ
• 米債券利回りの反発とドルの小幅な上昇は、金価格の上昇を制限する可能性がある

6日の金価格は過去最高値を更新しました。

トランプ米大統領が世界最大の金消費国である中国に課した関税に対し、中国も報復を強化しており、その影響で安全資産である金に買いが集まりました。

金は過去最高値を更新

アジア時間５日の取引で、金価格が一段高となり、１オンス＝2849.05ドルと過去最高値を更新しました。「米中貿易戦争」の幕開けとも思われる状況で、安全資産への需要が高まりました。

貿易と関税の不確実性が金価格を支え続ける

TDセキュリティーズのアナリスト、ウォーレン・パターソン氏とエワ・マンシー氏によると、ドナルド・トランプ米大統領がカナダ、メキシコ、中国に関税を課した後、金は過去最高値を更新し、投資家は安全資産へと向かう傾向を強めました。

「米国がカナダ、メキシコと関税を少なくとも1ヶ月間延期することで合意したにもかかわらず、貿易と関税に対する不確実性は依然として金価格を支えています。」

「今年、金ETFの保有総量は59万オンス以上増加し、8,340万オンスに達しました。これは安全資産へのシフトを反映しています。」

貿易戦争への懸念

・ドナルド・トランプ米大統領の関税計画は、世界貿易戦争とその経済への影響への懸念を引き続き煽り、安全資産とされる金価格は過去最高値に達した。

・米供給管理協会（ISM）の1月の製造業購買担当者指数は、前月の49.3から50.9に上昇し、予想の49.8を上回った。さらに、インフレの指標である支払価格指数は52.5から54.9に上昇し、雇用指数は45.4から50.3に、新規受注指数は55.1から上昇した。これにより、トランプ大統領の関税政策がインフレを引き起こすとの見方が強まり、FRBの追加利下げの意欲が削がれ、ドルを支える要因となった。

・シカゴ連銀のオースタン・グールスビー総裁は、トランプ大統領の政策に対する不透明感が中央銀行の利下げ計画を遅らせる可能性があると警告した。

・アトランタ連銀のボスティック総裁は月曜日、米国の労働市場は予想以上に堅調に推移しているものの、関税の脅威が期待を揺るがしていると指摘した。

・トランプ大統領の政策がインフレを押し上げる可能性があることも、FRBによるさらなる金融緩和への期待とともに、利回りなしの金にプラス材料となっている。

・トランプ大統領がメキシコやカナダとの国境警備協定成立後に関税を一時停止したことにより、投資家心理が改善し、安全資産とされる金価格の上昇が一時的に抑制される可能性がある。

・2年以上前の高値付近から下落した後、押し目買いが入り、強気派のドル買いにブレーキがかかる可能性がある。

・火曜日の米国経済カレンダーには、求人・労働力移動調査（JOLTS）と工場受注データの発表が含まれ、これらはドルと金価格にいくらかの刺激を与える可能性がある。

まとめ

金は古くから「インフレヘッジ」として重要な役割を果たしてきました。特に、通貨の価値が低下するリスクが高まる局面では、その価値を守る力が強いとされています。金は他の資産と異なり、通貨の価値が減少してもその実物的な価値を保ちやすいため、インフレの影響を受けにくい特性があります。

今後も、貿易戦争の不確実性やFRB（連邦準備制度）の金融政策が金相場に与える影響には引き続き注目が集まるでしょう。

さらに、金への投資手段が多様化していることも、投資家にとって大きな利点となっています。金ETFや金先物といった金融商品が普及し、個人投資家だけでなく機関投資家も金市場への参加がしやすくなりました。このような状況が進むことで、金価格はより多様な投資家層によって支えられることになり、安定的な需要が期待されます。したがって、金はその安定性と安全性を求める投資家にとって、今後も非常に重要な選択肢であり続けるでしょう。

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