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概要:国際通貨基金(IMF)は世界の金融システムを揺るがせた混乱について、リスクが全て去ったと宣言するのは時期尚早であり、銀行の破綻は経済成長の重しとなる公算が大きいとの見解を示した。
2023年4月11日 23:30 JST
金融システムに潜む複数の脆弱性の「危険な組み合わせ」指摘
銀行セクターのストレスは世界の成長に悪影響与える可能性高い
米国では当局が危機拡大を防ぐために、破綻したシリコンバレー銀行(SVB)とシグネチャー・バンクの全預金を保護するという異例の措置を取った。さらに、米連邦準備制度理事会(FRB)は金融システムに追加流動性を注入するため新たなファシリティーを創設した。スイス当局は危機に瀕したクレディ・スイス・グループを救済すべく、同業のUBSグループによる買収を仲介・支援した。
IMF金融資本市場局のトビアス・エイドリアン局長は報告に伴うブログ投稿で、見通しに対するリスクを投資家は甘く考え過ぎているかもしれないとし、特に米国株のバリュエーションの高さに言及した。
IMF金融資本市場局のトビアス・エイドリアン局長
「恐らく驚くべきことだが、銀行破綻以降に全体的な金融環境は有意なほど引き締まってはいない」と同氏は記した。
銀行破綻は「世界の金融システムに何年も前から潜んでいた複数の脆弱性の危険な組み合わせ」の表れで、こうしたリスクが今、数十年ぶりの高インフレと闘う中央銀行の積極的な信用引き締めによって露呈したとIMFは論じた。
「急速な政策引き締めは金融リスクの世界に根本的な変化をもたらしている。資産配分や資産価格、市場環境が新しい状況に適応しつつあり、市場構造と投資家、金融機関に難題を突き付けている」と分析した。
金融セクターの緊張は、想定以上に持続性のあるインフレを抑え込む中銀の取り組みを複雑にしているともIMFは指摘。こうしたストレスが悪化すれば、当局はインフレとの闘いと金融システムの安定確保の兼ね合いという難しいかじ取りを迫られる可能性があると説明した。
迅速な行動
IMFは報告で「政策当局は世界の金融システムに対する投資家の信頼を揺るがすようなシステミックなイベントを防ぐため迅速に行動すべきだ」と呼び掛けた。
一方で金融ストレスが解消された後は、インフレ率を押し下げる決意を可及的速やかに打ち出す必要があると付け加えた。
エイドリアン氏はブログで、最近の混乱は約15年前の世界金融危機よりも1980年代の米貯蓄貸付組合(S&L)の危機に類似していると分析。銀行システムの資本水準は08年に比べはるかに高く、金融危機後の規制が信用リスクを縮小させたと指摘した。
それでも、「銀行セクターのストレスは広範な融資状況、ひいては経済成長に悪影響を与える可能性が高い」とIMFは予想。最近の銀行株の大幅下落が与信を縮小させ、米国とユーロ圏の成長を約0.5ポイント低下させる可能性があると試算した。
IMFが金融安定報告で指摘したシステムの弱点は以下の通り。
保有する米国債およびその他債券の未実現損失を全て考慮に入れる場合、資産100億-3000億ドル(約1兆3000億-39兆9000億円)の米銀の約9%が事実上の資本不足に陥る
商業用不動産市場は多くの国で価格が著しく過大で、最近の混乱を受けた銀行や他の貸し手が一段と信用を収縮させるリスクにさらされている。これは与信の伸びと資産価格の間の負の循環を引き起こす恐れがある。資産価格の下落は借り入れに際して差し入れる担保の価値を低下させるからだ
欧州中央銀行(ECB)は6月に条件付き長期リファイナンスオペ(TLTRO)の返済期限が来た時に金融システムに追加の流動性を供給する必要が生じるかもしれない。一部の南欧諸国の銀行は返済のための余剰資金がない可能性がある
IMFは一方で明るい材料も挙げ、「新興市場の大国はこれまでのところ、先進国・地域の急速な金融引き締めを比較的大過なく乗り切っている」と指摘した。
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